お産日記③「陣痛と絵本の長期戦」
陣痛は定期的に穏やかに続いた。
少し声を出せば痛みを外へ逃がせた。
ののこの時はもっとジェットコースターみたいだったなと思い出してた。
乱高下するジェットコースターに乗らされ、乗ったら最後終わるまで降りれない。
降りたいとかとか思う余裕もなく、でも案外乗れている自分がいた。
昔サーフィンにハマった時に学んだのは、
大きな波を見つけたら即ターン。
あれに乗ると決めたら迷わず必死にパドルする。
あの教訓が活きた。
大きな波を怖がるな。決めたら最後前のめりで行け。
陣痛の波を怖がるな。決めたら最後前のめり行け。
しかし今回、大きな波は来ない。
ゆえに私は確変しない。
陣痛の合間に会話をする。
トイレに行ったりもする。
陣痛が来ると「はぁ〜」と声が出る。
すると徳本さんが腰をさすってくれる。
たまらなく気持ち良い♡
股関節がミシミシと痛い。
骨盤が広がっていくのが分かる。
それが2時間くらい続いた。
1mほど離れたところで、ののこはず〜〜〜〜っと夫に絵本を読んでもらっていた。
とことんマイペースだ。
夫は夫でエンドレス絵本という苦行をこなしていたようだった。
陣痛も後半、ののこが近づいて来て腰をさすってくれる。
幼い手は癒しそのもの。
ものすごく気持ち良い。
続いて夫が腰をさすってくれる。
違う。そこじゃない。
三度の修正後ちょうど良い加減になった。
合格と心の中で思う。
ゆっくりと着実に胎児は降りてきていた。
だんだん気持ち良いより、痛いが勝ち始める。
始めは骨盤前側に来ていた痛みが後ろ側から下へと移動する。
骨盤はさらに広がりを続ける。
体が熱い。たまに水を飲む。
私は内側のダイナミックな振動を全身で味わい観察する。
と、会陰部に体の内側から圧を感じ始めた。
胎児の頭部が到着しつつあると思った。
徳本さんに「骨盤底に頭が降りてきた感じがする」と伝える頃、出る声のトーンが自動的に変化していく。
低い声。唸りのような音になる。
陣痛は休息を挟みながら大きな波となってきた。
観察が難しくなって、陣痛と自分が一体化し始める。
その時が近いのを察した徳本さんがサポートの助産師さんを呼び、同時に手早く布団の上にシートを敷いていく。
え?もう?
まだここからかかるんじゃなかったっけ?(一人目はそうだったような…)と思ったのを察したのか「そろそろ出てくるからねー。この姿勢のままいきますか?」と徳本さんが聞く。
えー!!もうなの!???
1回目と異なる2回目の展開の早さに驚きつつ「わかんない!」と叫ぶ私。
この頃には短い言葉しか話せない。
ただはっきりしてることが一つ。
この体勢じゃないぞ!
どうする私?
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